『果て遠き丘』[ 影法師 ](八)10 ウエートレスの持って……

ウエートレスの持ってきたコップの水を香也子はひとくち飲んで、はじめてきっと容一を見た。その香也子を見つめながら、幼い時と少しも変わらないと、恵理子は思わず微笑を浮かべた。香也子はいいたいことは必ずいい、したいことは必ずする性格だった。自分の制服のスカートをずたずたに切りさかれたことさえ、いまの恵理子には懐かしい。


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